光源氏の腕の中【仮】

②ふすまの向こう・・・

婚儀十日前。

・・・

今日は、帝邸にて、

大臣たちの話があるらしく、

続々と人が集まっていた。

・・・

会議の最中。

私はお菊と共に、

隣の部屋で、文字のお勉強中。

慌ただしく聞こえてくる声に、

勉強など集中できるはずもなく・・・

・・・

『源氏の君』

その言葉が、騒がしかった部屋に、

響き渡った。

・・・なんで?

結婚式の話しに、光も来ているの?

…ヤダ。

何で、こんなところに。

・・・

持っていた筆が、かすかに震える。

それに気づいたお菊が、

優しく手を握った。

「源氏の君様は、婚儀には

出席なさりません・・・

この日に、人に紛れて、

朱音様に会うために来られました」

「・・・え?」
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