俺様ホストに愛されて
甘いひと時
「ねぇ、なにがいい?」
ショーケースの中を覗き込みながら、リュウに問いかける。
昼間の駅ビルの中は、大学生やOLで賑わっていた。
「妃芽が選んだやつでいいよ」
ショーケースをちらりとも見ずに、リュウは適当に返事をした。
「リュウの誕生日プレゼントなんだから、リュウが選んでよ」
メンズ物のショーケースの中を流れるように見て行っているけど、中々思うような物が見当たらない。
うーん。
誕生日は1ヶ月前に終わったけど、結局あたしはプレゼントを選び切れなくてこうして今日一緒に来た。
リュウはなにもいらないと言って聞かなかったけど、あたしはそれを聞き入れなかった。
「じゃあ……これ」
そう言ってリュウが指差したのは
あたしの左胸。
つまり、心臓。
だけど、なにを言いたいのか全く伝わって来ない。
「なに?」
心臓?
「妃芽の気持ち、全部ちょうだい」
「き、気持ちっ⁉」
そんなの
言われなくても、全部リュウのものだよ?
恥ずかしくて言えないけどさ。
そんな臭いセリフを真顔で言うリュウに恥ずかしさを感じて、とっさに目をそらした。