愛の裏返し

奈美

 ラブホテルの一室。
 服を着ている奈美の横には、禄鉢俊介(ろくはち しゅんすけ)が裸で寝ている。
 「ねえ。起きて。私、もう行くから」
 「お、おう。そうか」と、寝ぼけた感じで俊介が言った。
 奈美は、その豊富な胸を揺らしてシャワー室へ向かった。俊介は、その後ろ姿に見ていた。奈美の大きいお尻、だけどそう思ってるのは、俊介だけだった。奈美のお尻は標準だった。
 感触がとても良く、肉付きがよかった。俊介にとって、その触り心地は快適なものだった。それがいつしか、病みつきになっていた。実際、先ほどまで情事に耽っていた時にも、奈美の大きいお尻を掴んでいた。そして、激しい二人の喘ぎ声の中に、お尻を、と声をかけていた。
 俊介の好きなお尻を奈美は、きれいに洗っていた。だが、それ以外にも丁寧に洗う理由があった。
 貴幸との情事には、必ず避妊をする様にしてるが、俊介の時には、全く避妊をせずに行うのだ。奈美もそれを不愉快とは思わずに、受け入れた。俊介が避妊なしが良いと言ったからだ。妊娠しても構わないと思い始めていた。
 だけど、必ず情事が終わった後には、シャワーを浴びる様にしていた。溜まったものを外に出すように。
 シャワー室から出て来た奈美は、バスタオルを体に巻いた状態だった。濡れた身体に俊介が興奮したのが分かった。
 「ねぇ、もう一回」と、強請るように奈美の目を見て言った。その顔は、まるで猫の愛くるしい目で何かを訴えてるようなものだった。
 「ダメ。約束があるの」
 「彼氏より俺の方が好きだろう?」
 「否定はしないけど」
 「なら、いいだろう?」
 俊介のそそり勃った大きい物が、起き上がった時に見えた。奈美自身も興奮しているのが分かった。今すぐにでも、ベッドに押し倒してヤリたい衝動に駆られた。
 貴幸との時には、一回で満足するのに、俊介の時は、一回で満足できなかった。
 おそらく、いつもならあともう少しだけって続けるだろうが、今回は出来ない事情があった。久し振りのデートだからだ。これをサボってしまったらきっと、疑われるだろう。私自身も楽しみにしてたし、貴幸だって楽しみにしている。
 奈美は、俊介の誘いを断りながら、床に散らばっている自分の服を拾い上げて着始めた。メイクもしっかり付けて、外にいる準備をした。
 「行くね」
 そう言うと、奈美は部屋を出ていった。
 このラブホテルは、新宿駅の周辺にひっそりと佇んでいる。防音設備もよく、大きい声で喘ぐ奈美にとって、かなり重宝してる。
 貴幸の待つ新宿中央東口広場に急いだ。
 貴幸を嫌いになった
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