玄関を開けるとすぐ、乱雑に脱ぎすてられた男物の靴が目に飛び込んできた。

同時に耳に聞こえてきたのは、ノイズのようなテレビの音。

私は家に上がると、履いていた黒いヒールの靴と脱ぎ捨てられたままの男物の靴を揃えて玄関に並べた。

玄関から真っ直ぐに延びる廊下を抜けると、すぐにリビングに繋がる。

リビングに入った私はまずテレビと対面する。

そのすぐ傍で、一緒に住んでいる恋人の(れい)が肘をついてごろりと横になっていた。


「ただいま。早かったんだね」

私はできるだけ柔らかく見える笑顔を作ると、怜の背中に話しかける。

だが彼は私の声が聞こえていないのか、何も答えない。


「ただいま」

大きな声でもう一度言ってみる。

だが、怜はやはり無反応だった。