世界を濡らす、やまない雨


佳乃は勉強ができて、自分の意見をきちんと言うことができて、そして誰に対しても公正だった。


彼女のその性格は、クラス委員にはよく向いていたと思う。

それに、私みたいなクラスではみ出した生徒と仲良くすることにも向いていた。


中学二年生までの二年間、私は佳乃と同じクラスだった。

その間、佳乃はずっと私を庇ってくれた。

私がひとりでいると声を掛けてくれたし、佳乃と同じ仲良しグループにいた女子が私を仲間はずれにしようとしたときは、その子に注意をしてくれた。


優しくて公正で……


助けてもらうばかりで何もできないけれど、私は佳乃が好きだった。


消極的な性格のせいで悪口を言われたり、嫌われることはあっても、決して人の悪口を言わなかった私を、佳乃もきっと好きでいてくれたと思う。

その証拠に、佳乃は仲良しグループの女子達には話さないようなことも私だけには教えてくれた。


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