隣のぼーいふれんどサマ。

心の距離=嘘?



事故なんて知らない。


あたし、事故なんてそんなの・・・。


否定しようとして、できなくなった。


あたしには、わからない謎の記憶が存在している。


そのことが、関係している?


事故なんてあったの?


事故・・・。


事故という言葉で、あたしの見た残像を浮かんでくる。


あのオレンジの残像。


少女は怪我をしていた・・・。


そしてその奥には男。


あの少女があたしで、男がエリカさんの彼氏だとすれば、全てが成り立つ。


しかし、自分の幼少期の姿くらいはわかる。


あれはあたしじゃない。


その男との関係もない。


わかんないよ・・・。


今ここに、隣に、俊哉がいてくれれば・・・。


そんな思いでいっぱいになってしまう。


隣で、「大丈夫だ」って。「何も怖くない」って言ってくれたら。


ただあたしの頭を撫でて、手を握って、微笑んでくれたら。


それだけでいいのに、その願いは届かない。叶わない。



< 143 / 205 >

この作品をシェア

pagetop