初恋シグナル~再会は恋の合図~


藤桜戦から1週間後に行われた準決勝。


私たちにとって、それがこのチームでできる最後の試合になった。



藤桜戦で相手のファールを受けた松田先輩が、怪我のために試合に出られず。


相手チームがかなりうちのチームを研究してきたこともあって、思うように試合が運べずに、結果、1-2で惜敗。



それでも選手も、そして控えの部員も、全力で頑張ったと思う。


いい試合だったと、思う。



柄にもなく、負けて涙を流す先輩たちに、私はなにも言うことができなかったけど。


これからのサッカー部を背負っていく後輩に、力強く温かいメッセージを送ってくれた一紀先輩だけは、少しも泣いていなかったことが、妙に印象に残っている。


一紀先輩は、本当にキャプテンらしいキャプテンだった。


プレーでも、そして精神的な面でも、このチームの柱だった。



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