セク・コン~重信くんの片想い~

7話 またもや失恋!?


「アオイ!」
 気付いたときには、重信は2-Cの教室にいるアオイを呼び止めていた。
「おう? 何か用か?」
 アオイがポケットに手を突っ込み、自分の席からこちらへと歩み寄ってくる。
「今日は屋上で飯食わないか?」
 既に学食で購入しておいたパンの袋をアオイに差し出す。
「いいけど……。また4人で?」
 きょとんとした目で首を傾げるアオイを気にしっつも、重信はちらりと恵太を振り返った。
 恵太は美雪と何やら話込んでいる。
「今日は2人でどうだ?」
 恵太を誘わないことに、少し気が引けたが、重信としては昨日の永遠子との件が気になって仕方がないというのが本音だ。そのおかげで、昨晩は一睡もできなかったというもの。
「このパンやるから」
「うお、マジ!?」
 にかっと笑うと、アオイは軽快に跳ねるような足どりで重信の後ろをついてきた。
(食い物で釣るなんて、卑怯な真似だよな……)
 それでも重信には、そうまでしてでも確かめなければならないことがあったのだ。

「うっはー! すげぇいいえ天気。こういう日は屋上に限るよな~」
 屋上の扉を抜けると、雲一つ無い秋晴れが広がっていた。
 ぐんと背伸びしたアオイは、気持ち良さそうに大きく空気を吸い込んだ。
 トクンと重信の心臓が大きく波打つ。
(やばい……。まじでアオイが好きみたいだ……)
 小さいくせに勝気で男勝りで。それにいて妙に子どもっぽいアオイ。見た目こそ、まだ幼さが残っているが、同性の重信から見ても、アオイは美しく、そして格好良かった。それは見た
目からだけのものではない。きっと内面の美しさに他ならないだろう。
(アオイを知れば知る程、もっと好きになる……。それでもっと知りたくなる……。俺は貪欲だろうか?)

 フェンスを背に、重信は静かにコンクリートの地面に腰を下ろした。
「ん」
 買ってきたパンをアオイに手渡すと、自分はオパックジュースにストローを突き刺す。りんご100%。重信の好きな飲み物の一つだ。
「じゃ、遠慮なく」
重信のすぐ隣に胡坐をかいて座り込むと、アオイは受け取ったコロッケパンに噛り付いた。
 風にアオイの髪がふわりと靡く。ほんのり香るシャンプーの匂い。
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