守りたいから
それが気に食わないのか、彼女は俺を睨みつけてきた。

「ばらされたく、無いんじゃないの?」

ごくり。
胸の痛みと、緊張。
その先の彼女の言葉が怖くて、背中に嫌な汗が流れた。

むこうも余裕を見せようと、強張った笑みを張り付けて。

要求されるのは、金か。
・・・いや、アイドルなんだから、金ってことは無いはず。
なら、彼との、別れか。

彼女から目を離せない、俺。
静まり返った倉庫の中で、近付いてくる彼女のヒールの音。
聞きたくない。
なのに、耳をふさぐことも、目を閉じる事も出来ない。

彼女の両腕が、決して背の高くない俺の肩に、首に。
回される。

驚いて目を見開けば、キスを、された。

「彼の評判、落としたくないでしょ?」

嫌悪感しかわいてこないのに、どうしても俺は突き飛ばせない。

だって、そんなことをして、俺の事が世間にばらされてしまったら。
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