カゼヒキサン。

カゼヒキサンと海斗くんの本当の気持ち

<ミズキサイド>

………ズキッッ

「うっ」

目が覚める。

頭…痛い。

顔もヒリヒリする…。

そりゃそうか。

あんなに強いボール当たったんだもんね。

ありゃきっと奈緒ちゃん(バレー部)のアタックだわ。

「あぁ…なんかクラクラする。」

そう言って起き上がる。

ここはどこ…保健室か?

まわりがシャーッて囲まれるカーテンに、まさに囲まれてる。

ふらっと立ちあがって、そのカーテンをシャッと開ける。



…と。


「か、…海斗!?」

「み、瑞希!!」

いきなりイスに座ってた海斗に肩をつかまれ、ベッドに押し倒される。

なに、なに!?

何が起こるの!?

…なんて思ってたら海斗が肩から手を離してあたしに布団をかけた。

「…瑞希、ボールあたった衝撃と熱でぶっ倒れたんだよ。まだおとなしくしてろ。」

そういって、近くのイスに座る。

「…うん。」

それだけしか答えられなくて、なんとなく背を向ける。



少しだけ海斗をちらってみると、目が合う

そして海斗がゆっくり迷いながら口を開いた


「………あのキス、軽い気持ちなんかでしてない。」

「…え?」

思いがけない言葉が返ってくる。

お、思わずガバっと起き上がる。

「俺だって、ちゃんと考えたりしてる。…無抵抗な奴に何でもないキスなんかしないよ。」

「え?…え、どゆこと…?」

状況が読めないよ。


「…本気だったんだよ。」

海斗が、小さく呟いた。
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