眠れる森の

どっちがさそったのか自覚もないside郁都

「お姉ちゃんって呼んでね。」
優しそうな人だった。
母親が誰かの愛人だということは、親戚の誰だったか・・・・聞いた。
どこにいても誰といてもぽっかりと浮かんだ存在である自分。
その人の顔は穏やかで、いつも何かに責められているような自分を全部許してくれるようなそんな錯覚をおこさせた。


女と暮らすのは、母親でなれていたはず。

ぜんぜん違う。

子ども扱いして頭をなでて来るとき。
風呂上りの髪をそのままにすれ違うとき。

俺は壁ひとつ隔てた向こうに自分を振り回す存在がいることに困っていた。

中学に入ると告白してくる女子が増えてきた。
「おんなくさい・・・・・」
友達にそういうと
「ケンカ売ってんのか?」
と笑われた。

夏休みの部活の後。
剣道部の先輩の家におじゃました。
まあ、よくあるAV鑑賞会。
みんな軽口をたたきながら、もぞもぞとしつつ。
笑いながら帰り、俺もなんということもなく帰った・・・・はずだった。

異変は夜中に起こった。
夢の中で、俺は誰かをだきしめていた。
昼に見たAV。
『夢だ』
と思った瞬間に、女の顔はあさひになった。
『夢だから』
『夢だから』
夢中で行為に没頭した。
朝起きて、
「なんてことをしたのか」
と汚れた下着をこっそり洗い、洗濯機にいれた。




< 7 / 7 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

机の人形

総文字数/3,431

恋愛(純愛)6ページ

表紙を見る
みしりみしり

総文字数/97

詩・短歌・俳句・川柳1ページ

表紙を見る
ゼッタイミトメナイ

総文字数/150

詩・短歌・俳句・川柳1ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop