それでも、愛していいですか。

歓迎会




「はじめまして。沢井加菜です」

加菜は少し頬を赤くしながら、かわいらしく孝太郎に自己紹介した。

結局、孝太郎が引っ越してきた日からまもなく、奈緒と孝太郎のアパート近くにあるイタリア料理店で歓迎会が実現した。

「はじめまして。加菜ちゃん」

そう言ってにっこりした孝太郎に少し驚いた。

ごく自然に下の名前で呼ぶあたり、こういうのに慣れているのだろうか。

「ありがとね、歓迎会。こっちに来てさっそく友達ができて嬉しいよ」

「よかったねぇ、孝太郎。かわいい友達ができて」

「ほんとほんと。加菜ちゃん、かわいいよね。モテるでしょ?」

「そんなことないよ~」と謙遜している加菜の顔は、明らかに緩んでいる。

「そういう孝太郎くんこそ、モテるんじゃない?格好いいもん」

さらりと褒め合う二人の顔を交互に見た。

実際、二人ともモテる。

加菜は明るくて素直で女子から見てもかわいいし、孝太郎も高校時代、グラウンドで練習している孝太郎目当てに見学している女子を何度も見かけたことがあった。

なんだか。

少し自分だけが置いてけぼりにされたような気がした。

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