それでも、愛していいですか。




日曜の晩、アパートに戻ると、玄関で孝太郎とはちあわせた。

「お帰り。……大変だったな、ばあちゃん。俺、母さんから電話かかってくるまでなんにも知らなくてさ」

奈緒が少しうつむくと、孝太郎は「大丈夫か?」と顔をのぞき込んだ。

「大丈夫だよ」

「元気、出せよな」

「うん、ありがと」

「おう。じゃあな」

「うん」

それだけ言うと、孝太郎は外階段を軽快に下りていった。

心配して様子を見に来てくれた孝太郎のさりげない優しさが嬉しかった。


少し久しぶりに短大へ顔を出すと、孝太郎同様、加菜も心配そうに声をかけてくれた。

「うん。大丈夫だよ。私こそ、ごめんね。先生の歓迎会、一緒に行けなくて」

「ううん。そんなの」

「どうだった?歓迎会。先生、ちゃんと来てくれた?」

奈緒がそう言うと、加菜は奈緒の腕をガシッと掴み。

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