何のアクションも起こさないまま、勝手に失恋してしまった奈緒は、何か気分転換をしようといろいろ試みた。

公務員の受験勉強とゼミのレポート課題は、とりかかっても、はかどらなかった。

ショッピングに出かけたり、家の近所を走ってみたり、「ストレス発散したい!」と言って、加菜と孝太郎につき合ってもらいカラオケで大声を出して歌ってみたりもした。

好きになっても決して結ばれることはない、ということが確定してからというもの、自分でも驚くほど落ち込んでいた。

そこまで好きだったのかと、失恋して初めて気がついた。

そして、それまで以上に、阿久津のあの凍った空気が気になるようになってしまった。

結婚しているのなら、どうしてあそこまで凍っているのだろう。

加菜の言ったとおり、たとえ夫婦の関係が冷え切っていたとしても、学校でその空気を全面に出す必要はない。

それに、君島先生の言う「よほどのこと」というのも、気になる。

君島先生は、人を見る目に関しては長けているから、無視できない。

思っていることをなんとなく、目の前にある紙につらつらと書き連ねていた。

ちょっとした『阿久津メモ』が出来上がったが、考えれば考えるほど、謎は深まっていった。

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純文学  シリアス  禁断  純愛  准教授  切ない  年の差  じれじれ  海野かもめ 

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