色彩恋愛

茜色

悠紀君に届けてもらった生徒手帳に挟まれていた紙切れ。

読んだ瞬間声が出なかった。


（なんで知ってるの！？）


綾は、一連の行動を振り返ってみても、悠紀に気付かれた覚えはなかった。
でも、紙に書かれていることは事実。

「綾どうしたの？」
「…っえ？いや、成績が書いてある紙見られたみたい。」
「うわー、最悪じゃん。まして、悠紀に見られたなんて余計ね。」

紗絵子は苦い顔をした。

「そういえば、サエは悠紀君と知り合いだったんだね。」
「うん、まぁー悠紀はこの学校内では知らない人はいない位の有名人だからね。綾は知らなかったみたいだけど。」

あの人、そんな有名人だったのかぁ…。

綾の脳裏には、鼻で軽く笑う悠紀の顔が浮かんだ。

あんな、傲慢そうな人がねぇ…。


「綾、帰りにどっか寄ってかない？」
「あー…それが、今日は用事があって…一緒に帰れないんだ。ごめんね。」
「そうなんだ。じゃあ、明日は一緒に帰ろうね。」
「うん！！」

正直、綾もまっすぐ帰りたい所だった。
しかし、悠紀からの呼び出しに答えなければ、ただで済ませれそうではないのを察知し、渋々放課後A組へと足を運んだ。
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表紙・目次

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