魔王様と私
私とロリッ娘

「マキちゃん、チュ「きゃぁああ!!」

毎回恒例の魔王の台詞を遮ったのは、甲高い子供の声。
何事かと声のした方を見ると、ロリッ娘が殺人現場でも見たような驚愕した表情で立っていた。
そして、徐々にその顔は険しくなっていく。
それは可愛らしい容姿には不釣り合いだった。

「まおうさま!このおんなはだれですか!?わたくしというものがありながら!!」

私なんかないもののように扱い、走り寄ってくる。
なんか修羅場っぽい?しかも、私が悪女?

「マキちゃんマキちゃん、大好き」

当の本人は、何事もなかったように、私に顔をすり寄せてきた。
無視されたロリッ娘はこっちを睨んでくる。
こえーよ。幼児のする目つきじゃねーよ。熟年のスナイパーだよ。
私にどうしろって言うんだよ。

「まおうさま!わたくしのおはなしをきいていますの!?」

「んー…きーてる、きーてる。
久しぶりだね。エーテル」

「はい!おひさしぶりですわ!まおうさま!
このおんなはだれですの?」

ロリッ娘…エーテル?は、こちらを指差した。
あー、昼ドラが懐かしい。結局、美咲はどうなったんだろ。
全13話の内、9話までしか見てないんだよなー。

「マキちゃんはマキちゃんだよ」

魔王は魔王で、私の頭撫でながら、答えになってないようでなっているような微妙な答え方するし…。
ほら、エーテルちゃんプルプルしてるよ。今のうちに謝っとかないと。

「まおうさま!こんやくしゃのわたくしとそのおんなのどちらがだいじなのですのぉ!?」

あー、もう泣きそう。

「マキちゃん」

…本気でこいつ(魔王)を殴りたくなった。
なんで即答しちゃうかな?叩かれたいのかな?
ほら、エーテルちゃん俯いちゃったよ。
震えてるよ。泣くよこれ。

「……まおうさまの、うわきものおおぉぉ!!」

震える声で叫び、出て行ったエーテルちゃん。
魔王はそんなの気にもとめず、私の太腿を撫で始めた。
魔王はこんなんだし、エーテルちゃんをこのまま帰すのは駄目だよね。
それをベシリとはたき、魔王の膝からおりる。

「マキちゃん?」

名残惜しそうに、私を呼ぶ魔王に言ってやる。

「浮気者」

まるでこの世の終わりだというような顔をした魔王を横目に部屋を出る。
さて、エーテルちゃんはどっちへ行ってたかな?
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