西澤さんと文子さん
初めての感情

お見合いの後


西澤は、自宅に帰るとすぐに着ていたスーツを脱ぎ捨て、着慣れた部屋着を身にまとう。パーカーのフードを被りながら、パソコンの電源を入れ立ち上げる。


「さ、続きを書くか・・・。」


携帯に書いていた小説の原稿をメールで送りながら西澤は低い声でそうつぶやく。そして、メールソフトとワードをクリックしてほぼ同時立ち上げた。物書きとしての西澤の時間。

ペーストされた文章の続きを、ピアノを弾くかのように軽やかな手つきでタイピングしていく西澤。その時、何の拍子もなく文子の顔が頭をよぎった。その瞬間、西澤の手がぴたりと止まった・・・。



「・・・どうせ、あいつも俺のことなんてなんとも思ってねぇだろ・・・」



そういって、再びキーボードの音が部屋を支配していく・・・

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