そのお屋敷には、大きな庭の中に池があり、荻や桔梗、藤袴などの花がたくさん咲いていた。

奥の方には、趣のある日本家屋。


貴族でも位によって屋敷の広さに差があるのか、想像していた寝殿造よりも小さいけれど、風情があっていいわね。


洋風の家もいいけれど、古くから伝わる日本家屋も素敵ね。

最近になって日本家屋も見直されているみたいで、和風のマイホームを建てる人の気持ちが分かる気がするわ。


先程いたところからもお屋敷がたくさん見えたけれど、近くで見るとさらに素晴らしさが分かるわね。


嫌な男の住んでいる家だというのに、私は言葉を失うくらいに見とれてしまった。


しばらくの間、足を止めていると、屋敷の中に案内されたので、ドキドキしながら足を踏み入れる。


屋敷の中は......なんというか開放的ね。

それぞれの部屋の仕切りに目隠しの御簾はあるけれど、風は防げていない。

これでは冬は寒いんじゃないかしら。


余計なお世話だろうに、廊下を歩きながらそんなことを考えているうちに奥の一室に通され、そこで待つように言われた。

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