理想の恋愛関係
「すみません、明日はどうしても都合が悪くて……」


電話越しに聞こえて来る申し訳無さそうな声に、私は小さな溜息を吐いた。


「そう……仕事なら仕方ないけど……近い内に都合つけてね」


がっかりとした気持ちを隠せずに言うと、優斗君はすみませんともう一度言った。


「いいの、でも連絡は頂戴ね」


本当はイライラしていたけれど、仕事と言われればしつこく責める事は出来ない。


私は電話を切り、一段と大きな息を吐いた。


「ふられちゃったの?」


さっきから私の様子を見ていた、鈴香がからかうような口調で言った。


「まさか……仕事が有って明日のコンサートに行けなくなったって言われただけよ」

「ふーん、それで拗ねてるんだ」

「……」


図星だった。
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