かけぬける青空は、きっと君とつながっている
●BLUE*Blue
2年後、青い風
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「ということで、どうやら今週もお別れのお時間がやってきたようです。皆さんに、背中を押してくれた一言をお聞きしている『コトノハ』ラジオ。来週もこのお時間にお会いいたしましょう。お相手はナツこと、小菅菜月でした」
8月。
あの日、間宮さんが民宿“汐凪”をあとにしてから2回目の夏が訪れていた。
高校を卒業して、社会人1年目。
あたしは今、おばあちゃんの民宿の手伝いをしながら、地元の小さな小さなラジオ局でパーソナリティーの仕事に就いている。
声の仕事がしたいという夢と、小さな頃から大切な場所であり、彼にあたしの全てを変えてもらった民宿を守りたいという思いと、そのどちらも選びきれなかったあたしは、結局、両方を選択し、忙しくも充実した日々を送っている。
「お疲れー、菜月ちゃん。さっそくメールが届きはじめたわよ。反省会しながら選びましょ」
「はーい」
放送が終わったと同時にブースへ入ってきた、チーフの塩田さんにそう声をかけられ、あたしはヘッドホンを外し、彼女に笑顔を向けた。
塩田さんは、就職面接のとき、熱心にあたしの思いに耳を傾けてくれ、この『コトノハ』ラジオの企画を出したときも、即決に近い形で「やってみよう!」と言ってくれた恩人だ。