君に逢いたくて~最後の手紙~

忘れられない人

「うん。あのね、私隼人に
全部話したい。聞いてくれる?」


「もちろん!」


私たちはちょうど近くに
あった公園のベンチに
並んで座った。


そして私は1息おいて話し始める。


「あのね、私には優斗っていう
好きな人がいた」


隼人は優しく微笑んで聞いて
くれている。


「優斗とは幼なじみで、
家も隣でずっと一緒にいた。

私は優斗のことが大好きだったんだ。

今から9年前、小4の時、
私と優斗は大人になったら
結婚するって約束した。

優斗とはずっと一緒にいられるって、
そう思ってた。

でも、私たちが中学に行く前に、
優斗はいなくなった。

それはあまりにも突然で…。

優斗のいない人生なんて
考えられなかった。

私の心には、大きな穴が開いた」


「うん」


「でもね、優斗は卒業する前に、
必ず迎えに来るからなって
言ってたの。

…その時、ちゃんと意味を聞いてれば
よかったって後悔したこともあった」


私の目からは涙が流れている。


それを隼人は拭ってくれる。


「…私の中学時代はとても
暗かった。

せめてどこに行ったのかさえ
分かればよかったのに…。

私には何も分からなかった。

そんな私を支えてくれてたのは、
美夏だった。

美夏がいたから、私は
何とか頑張れた」


「うん」
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