裏切りの恋
7章 封印
 
好きだと気付いた瞬間
あたしは失恋をした。


裕翔には香織さんがいる。

もう10年も付き合っている彼女。

そこにあたしが入る隙間はない。



(運命って信じますか?)

(俺の彼女も、運命の赤い糸とか口癖で、あいつといたら、そんなのも悪くねぇな……って思ってた)


運命の話をしたあたちたち。

あたしたちは、特段運命というものを信じているわけではなかったけど、
お互いの相手が運命とかそういったものを強く信じている。

そしてその人といれば、運命というものはあるかもしれない、と思うようになった。


だけど……



(きっとそれは、今まで自分が出逢った人たちの中で……ってことだと思う。
 この先出逢う人は含まれていない。もしかしたら、あいつ以上の人が、この世界にいるかもしれない)


ほんと…
そうだね。


あたしはずっと、明にしか目を向けていなかっただけなんだ。

 
< 79 / 357 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop