浮気は、いいよ。



「届いたか⁇ 内容証明」



久しぶりに悠介から電話がきた。




「アンタの入れ知恵でしょ。 優里はこんなこと思い付くタイプの人間じゃない」



「そう、オレの入れ知恵」



電話の向こうで意地悪に笑う悠介。



「………アンタ、実はまた優里に惚れたでしょ⁇」



「フッ。 どうでしょう⁇」




上手くかわそうとしたって分かる。



大概の男は優里を好きになる。



「今、チャンスなんじゃない⁇ 弱ってる時期だし、つけ込むにはもってこいじゃん」



「お前らと同じ事したら、訴えた意味ねーじゃん」




「離婚成立まで我慢ってワケか」



ぬかりない。



優里は狡い。 離婚したって自分を思ってくれる男がいる。



それなのに、ワタシまで訴えてお金を巻き上げようとする。



お金なんかくれてやる。



幸太郎が手に入るなら。




「沙耶香、実は浮気がバレて嬉しいんだろ⁇」



悠介は昔から人の気持ちを読むのが得意なヤツだった。



悠介に嘘を吐いても必ずバレる。



まぁ、嘘を吐くつもりもないけれど。



「どうでしょう⁇」



本音を言うつもりもないけれど。
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