† Lの呪縛 †
第四話*鼓動と温もり
闇の中、光といえば蝋燭の火しかない。


朝も昼も夜もない。


その事に不満を持つ者も、違和感を覚える者もいない。


ここは元々そういう場所だから。


ヒューイも、この場所が好きだった。


自分が生まれ育った場所。


だがここよりも好きな場所がある。


それは美しい星空を見渡せる地上。



「あら、今日は地上へは行かないの?」



ヒューイは美しい声に反応し、振り返った。


女性と目が合うと、嬉しそうに笑みを漏らした。



「仕事以外で地上に居ると兄さんに怒られちゃうんです。 ペルセポネ様は何をなさってるんですか?」

「ハデス様はお忙しいみたいだから、お散歩していたところよ。 お隣いいかしら?」

「勿論ですっ」



ペルセポネはヒューイと並び、窓から外を眺めた。


窓から覗く景色は、暗く陰気臭い。


華やかさに欠けるこの場所では、ハデスの妻であるペルセポネだけが唯一の華だった。



「ペルセポネ様はここがお好きですか?」

「今でこそ好きだと言えるけど、初めて連れてこられた時は何て酷い場所なのかと思ったわ」

「あははっ」



ヒューイはお腹を抱え笑った。





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