† Lの呪縛 †
第七話*自分自身で
ライブラリーで本を広げているオリヴィア。


本に視線を落としているものの、内容は少しも頭に入ってこない。



「は~……」



何度目か分からない溜息。


頬杖をつき、本の上では無駄に指が動いている。



「何の本を読んでいるんだい?」

「っ!?」



突然声をかけられオリヴィアは肩を大きく揺らした。


顔を上げるとダグラスが立っていた。



「ノックはしたんだが、驚かせてしまったね。 すまない」

「私の方こそ気が付かなくてごめんなさい」



ダグラスはオリヴィアの隣に腰かけた。


オリヴィアは開いていた本を閉じ、ダグラスの方へ体を向けた。



「私で良ければ話しを聞くよ?」

「話し?」

「悩んでいるだろう?」

「ううん、悩みなんてないよ」



オリヴィアは笑って答えた。


ダグラスはオリヴィアの手元の本に触れ、困ったように笑みを浮かべた。



「本が逆さだが? これでは心配するなという方が無理な話だよ」



オリヴィアはハッとなり、苦笑いを浮かべた。


顔はほんのり赤みを帯びている。





< 225 / 260 >

この作品をシェア

pagetop