† Lの呪縛 †
第三話*血塗られた欲望
顎髭を短く生やした男性が厚みのある牛肉にナイフを入れ、優雅な手つきで一口サイズに切り離し、フォークで口の中へ運び込んだ。



「そういえば、今度のパーティーだが、ダグラスが娘も出席させると言っていたな」

「あら、そうなの? どんなお嬢さんなのかしらね。 ダグラスが女の子を養子に取ったと聞いた時は驚いたけれど、今のクレアを見ていると、正解だったと思うわ」



普段食事中はあまり会話のないルーズヴェルト公爵家だが、今日はいつもよりも賑やかな食事の時間を送って居た。


ダグラスとルーズヴェルト公爵、公爵夫人は幼い頃からの付き合いで、今でもたまに顔を合わせたりしている。


子供同士は会えば挨拶はするものの、仲がいいわけではない。



「凄く綺麗な子だったよ。 カーティスが骨抜きにされるくらい」

「あのカーティスがか? それは私も早く会ってみたいものだな」

「アレン、貴方会った事があるの?」

「キティの家で一度だけ」

「それで? どんなお嬢さんなんだい?」



ルーズヴェルト公爵家当主のエドガーは、息子アレンの話に興味しんしんだ。


ダグラスは娘の話をしようしないし、聞いても何も答えようとしない為、どういう子なのか知らないのだ。


今までは娘を外に出す事もなかったし、家に行っても会わせてもらえなかった。


情報が一切ない状態だ。





< 72 / 260 >

この作品をシェア

pagetop