それはずっと近くに。
「話になんねぇよ!俺バイトあるから」


ジャケットを抱え、足音をイラだ出せ慎二は玄関へ向かった。


「ちょっと待って!ねぇ待って!ちゃんと話そ。ねぇ!」


毎度同じパターンで私がすがるように追いかける。


逃げるように階段を駆け下りる慎二をもう何回見送っただろう。


情けないぐらい叫んで慎二を引きとめようとしたことだってある。


バカみたい。


惚れた弱み。慎二もそうやっていつも戻ってくる。



でも、最近わからなくなる。


私は慎二が好きなのか、恋愛ごっこが好きなのか。





そう、これは恋愛ごっこだ。





「慎二!!行かないでよー!」


メットを被り、慎二は原付で走り去った。



エンジン音が遠ざかり、座り込み泣きじゃくる自分をどこか冷めた自分が見下ろし言った。




「バカじゃないの」



でも・・・・・・その声は頭の中じゃなく耳の中に入ってきた。













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