仕事帰り。私は、忍ちゃんに報告しなきゃと、お店に立ち寄った。

 閉店時間をまわり、お店の看板が、OPENから、CLOSEDの看板にクルリと変わる。

 後片付けに忙しい忍ちゃんを、私は少しばかり、気遣いながら、お掃除をお手伝い。

 綺麗に布巾で店内を拭きながら、今日あったことを報告していった。

 すると、初めは優しくうん、うんと話を聞いてくれていた忍ちゃんなのに、だんだんと、その声色が変わってゆく。

 しかもチラリと横目で見たその表情は、どんどん険しくなっているようだった。

 えっと……あ、あれ??

 甘い香りがする中で、私に対する痛い視線。

 どうして、こんな空気になるの? と、私は布巾を両手でギュッと握りしめると、忍ちゃんの名を呼んだ。

 「えっと、忍ちゃん?」

 あはっと、軽く笑って見せるけど、忍ちゃんは、呆れたように口を開いた。

 「亜子、ふざけてるの?」

 忍ちゃんはバッサリ。

 「別に、ふざけてるわけでは……」

 「それ、結局、得たものはなんなわけ?」

 と、言われましても……。

 プリンを得ました。と、言ったら殺されそうだから言わないでおこう。

 「や、なんかね? 結局は彼女がいるのか、いないのか、その……。分かんないままに終わったって言うか……」

 あははっと、私は笑って「……ね?」と、誤魔化す。

 ちょっと頑張ったでしょ? とも、さすがに言えないと思った。

 忍ちゃんは、そんな私に溜息を吐いてから続けた。

 「そこも、まぁそうなんだけど……」

 「え?」

 「え? じゃ、なくて! もう!!」

 えぇ!? なに? どうして、そんなに疲れてるの!?

 「忍ちゃん??」

 「一番の呆れポイントはそこじゃないわ」

 へ?

 「なに、それ」

 私は、目をパチクリとさせる。

 忍ちゃんの言いたいことが、イマイチ理解出来ない。