♡祐雫の初恋♡

婚約破棄


 慶志朗は、次の土曜日の午後、麗華を春の宴に連れ出した。


「慶志朗から、琳子抜きでお誘いだなんて珍しいわ。
 
 何か思惑がおありのことですの」


 麗華は、午後の管弦楽コンサートが終わったところで呟いた。


「お察しの通り、麗華さんに大切なお話があります。

 夕食が終わるまで、お付き合い願えますか」


「ええ」


 麗華は、何時になく素直に従った。


 慶志朗は、麗華お気に入りのレストランを予約していた。


 食事中は、いつもながらに、慶志朗と麗華双方ともに

 華やかな会話が弾み、

 周囲の人々からは、仲睦まじい恋人同士として、羨望を集めていた。


 食事の終わりを告げるデザートがテーブルに並べられた。


 麗華は、大きな瞳を瞬きして、慶志朗を見つめる。

 このまなざしが最も美しいと麗華は自負していた。





< 122 / 201 >

この作品をシェア

pagetop