未熟色の君たち


由香里の少し後ろを歩きながら、小さな背中を見ていた。

少し痩せた気がするのは、俺が由香里を想っているからそんな風に感じるんじゃない。
旬へ届かなくなった想いが、由香里を小さくしてしまっているんだ。

玄関へ行くと、さっき旬と帰ったはずの亜実が下駄箱に寄りかかっていた。
その姿を見て、由香里が小さく息を飲んだのがわかった。

「……亜実ちゃん。しゅ……大崎君待ってるの?」

由香里は、旬の名前を言い換えて亜実に話しかけた。

さっきまで抜け殻だった自分の体に、無理やりいっぱいの空気を詰め込んだみたいな弾む声を出す。


< 15 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop