◇桜ものがたり◇


「むかし、むかし、桜河のお屋敷に旦那さまが、住んでおりました。

 ある日のこと、旦那さまは、桜山に出かけて、

 桜山から、折れた一本の桜の枝を拾ってきて庭に植えました。

 毎日、毎日、旦那さまは桜の樹に話しかけては、水をやりました。

 すると、桜の樹はぐんぐん大きくなって、

 毎年春になると綺麗な花を咲かせるようになりました。

 そのうち、旦那さまは、桜池のお祭りで、美しい娘に出逢いました。

 娘は旦那さまの奥さまになって、

 旦那さまと一緒に桜の樹を大切にして暮らしました。

 桜の樹は喜んで、いつまでもいつまでも、

 桜河のお屋敷を守ってくださいました。

 とっぺんはらりのひらひらふるる」

 
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