夏の陽射しが和らいで、涼やかなそよ風が、吹き抜ける頃になると、

 桜川の清流が秋空を映して青く澄み渡り、

 川原は一面薄紅色の秋桜で覆われる。


 祐里は、桜の季節の次に、この秋桜の頃が好きだった。

 
 ただ、光祐さまが都に行かれてからは、少々淋しい秋桜の頃ではあった。


 光祐さまが小学生の頃は、毎年秋になると、

 桜川の川原で、秋桜の冠を作って祐里の頭に載せてくださった。


 土曜日の午後の澄み切った青空の下、

 祐里は、お屋敷に飾る秋桜を桜川の川原へ摘みに出た。


 可憐な秋桜がそよ風に靡くように揺れている。


 穏やかな陽射しの中、祐里の周りには小鳥たちが囀りながら飛び交い、

 川のせせらぎでは、小魚が呟きかけるかのように集まって泳いでいた。


 祐里は、桜川の自然に抱かれて、秋の日和を満喫していた。

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