食事に誘いに来た冬矢を拒絶してから一月が経った。

その間、同じ家に住んでいるというのに、里桜が冬矢と接触する事は一度も無かった。

冬矢は仕事で不在にする事が多かったし、里桜は冬矢と顔を合わせないように行動していた 。

それでも、薄い壁一枚隔てただけの隣室にいれば、嫌でも気配を感じてしまう。

冬矢はあの時の言葉通り、里桜の存在を気に留める事はなかった。

好きな時に愛人を連れ帰り、自室で朝まで過ごす事も少なくなかった。

その度に里桜は叫び出したいような苛立ちを感じ、眠れない夜を過ごした。

そして、遂にはソファーに毛布を運び、そこで眠るようになった。

冬矢の部屋から、少しでも遠ざかりたいと思った。

顔を見る事がなくても、冬矢に対する苛立ちは募っていくばかりだった。

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