目覚めると日はすっかり登っていて、カーテンの開け放たれた窓から眩しい日差しが差し込んでいた。

里桜はぼんやりとした頭で部屋の中をみまわした。

いつもと変わらない部屋。

けれどベッドサイドのテーブルに置かれた、ミネラルウォーターのペットボトルに目を留めた瞬間、昨夜の記憶を鮮明に思い出し一気に目が覚めた。

心臓が大きく音を立て始める。

無意識に、唇に手を当てていた。

「私……冬矢と……」

唇が触れ合う感覚を思い出し、身体がカッと熱くなった。

「どうして……」

あんなに簡単に冬矢を受け入れてしまうなんて。

しかも、自分から求めるような事を言ってしまったなんて、自分が信じられない。

混乱しながらベッドから降り、シャワーを浴び着替えをした。

これからの事を考えると気が重く、深い溜め息が何度も出た。

昨夜の事を冬矢が怒っているのは間違いないだろうから、どれだけ非難されるのか考えるだけで気が重くなった。

そして、何よりあのキスの事を思うと意識せずにはいられない。

冬矢の前に出て、冷静でいられる自信が無かった。

(あんなキス、冬矢にとっては人命救助みたいなものだろうけど……でも私は違う)

里桜は冬矢としか付き合った事がなかったし、その付き合ったわずかな期間も冬矢は里桜に触れようとしなかった。

里桜は顔を曇らせ、俯いた。

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