月夜の翡翠と貴方【番外集】


「わたしの名前は、ネオ・プリジア!この通り、とーっても可愛いプリジア家の三女よ」


そう言って、ネオは可愛らしくスカートの裾をつまんで、お辞儀をした。

私の横にいるこの少女は、プリジア家の令嬢である。

手入れされているのだろうサラサラの長い黒髪をなびかせ、得意気に微笑む。

ネオは昨日まで、グランデ夫妻の家へ遊びに来ていたようだ。

しかし今日から三日後に用事ができ、プリジア家へ帰らなければならなくなった。

しかしネオは、まだ帰りたくないとただをこね、せっかくプリジアから来た馬車の迎えも、無視をしたらしい。

そして、どうしても帰れというのなら、条件をつけると言い出した。

まず、馬車を使わずに歩いて帰ること。

…そして、今ルトの隣にいる少年と、一緒に帰ること。


「ネオ、何イイコぶってんだよ。気持ちわりー。お前なんか、大して可愛くないんだよっ」


グランデ夫妻の息子である、タツビ・グランデ。

麦穂色の子供らしい短髪をした少年だ。

タツビはネオを見て、唇を尖らせた。


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