首筋で寸止めされた刃に視線を向けると、緊張した面持ちで月海は呟いた。


「……まいりました」
「そこまで!」


 塔矢の合図で和成は刀を退いて鞘に収めた。
 月海も刀を収め互いに一礼すると、周りで見物していた隊員たちが月海に駆け寄ってきた。


「おまえの方から勝負を挑んだって?」
「知らないってのは命知らずだよなぁ。和成……殿に勝負を挑むなんて」


 口々にからかう古参の隊員たちに月海はムッとして答える。


「君主様の腕を知っていても挑んでいました。それに、ご自身の口からお強いと伺っておりましたし」


 古参の隊員、里志(さとし)は呆れたようにため息をつくと、月海の額を指で弾いた。

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