執務室に戻った和成に、塔矢は席に付くことを許さなかった。


「今日中に部屋を明け渡して正規の居室に移っておけよ」
「えぇ? 他に部屋はないんですか?」


 悪あがきをする和成を塔矢は一蹴する。


「ない。おまえこそ、ちゃんとした部屋があるのに他の部屋を使うな」


 和成はガックリ肩を落とした。


「私にあの部屋は広すぎるんですよ」


 和成は君主になってからも、それまで使っていた部屋を使い続けていた。
 警備の都合上問題があるので、侍従長と塔矢から再三に渡って正規の居室に移るように言われていたが、頑なに拒否し続けていた。

 この度、護衛官を任命するに当たって、その点も合わせて塔矢は侍従長から頼まれていたのだ。

 和成は大きくため息をつくと、諦めて君主の居室へと向かった。

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