トビラの向こう側
記憶喪失
「ここでの生活もだいぶ慣れたようだね」


「はい」


向かい合って座っているのはこの街の病院の先生。


「それで記憶の方はどう?何か思い出した事はある?」


「いいえ、まだ何も……。」


何か思い出そうとすると頭が痛くなって考えたくないんだけど。


「そうですか」

「まあ、何かのきっかけで思い出すって事もあるから気長にやっていきましょうあっそれと……」



一年前この街で記憶を無くしてふらふら歩いているところを巡回中のおまわりさんに発見されこの病院につれて来られた。


どこをどう歩いてここの街に来たのか自分の名前も年齢も家族の事も忘れてしまっていた。


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