蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
◇手を伸ばした先に



安部先輩が予約したお店は、会社近くにあった。
何度か通りがかった事はあるけど入るのは初めてで、おしゃれな雰囲気に驚く。

飲み会って聞くと、どうしても座敷のイメージが強かったけど、違っていた。

柔らかい座り心地のソファーみたいな白い椅子に、横に長い黒いテーブル。
テーブルの真ん中には、ラベンダー色のクロスが引いてあって、間接照明とあいまってとてもおしゃれだった。

飲み会というよりは、結婚式の二次会だとかちょっとしたパーティーだとか、そんなイメージに近い。

いつもは飲み会だとかは断る事が多いけど、今日は私が忘れていたせいで安部先輩がわざわざ自らセッティングしてくれたわけだし、と申し訳なさから出席したけど来てよかったかもしれない。

お店の雰囲気のよさにも驚いたけど、入ってそれ以上に驚いたのは、人数だった。
うちの課だけかと思ったら、他の課まで誘ったようで、人数はざっと見ただけで20人前後。



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