蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


『おっ……と、ごめん』
『あ、いえ。すみません!』

三上先生に本の整理を頼まれてた私が抱えるようにして運んでいたのは、図鑑の山。
だいぶ冊数が増えたから、履歴を見てここ数年借りてる人がいないようなら倉庫に移すようにって言われたのはいいけど。

カードを見る限り、半分以上の図鑑が6,7年前を境に誰にも借りられていなかった。
大学のネット環境が整ったのが原因なのかな。

そんな風に思いながら、10冊くらいの図鑑をよろよろしながら運んでいた私とぶつかったのが、悠介だった。

『昆虫図鑑に……恐竜図鑑?
小学生の自由研究みたいだな、これ』

膝をついて落とした図鑑を拾っていた私の視界に入ってきた手が、ひょいっと2冊の図鑑を持ち上げる。
それを追うように見上げて、その時初めてぶつかったのが悠介……、藤堂先輩だって気付いた。



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