蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


「吉野ぉ……」
「せっ、せんぱ……? どうかしましたか……?」

いきなりフレームインしてきた先輩に、心の底から驚きながら聞く。
ドキドキしたまま速度を落とそうとしない胸を押さえていると、見た事ないくらいに落ち込んだ顔をした先輩が、一通の封筒を差し出した。

「これ、課のみんなで集めたお金。
これに吉野の負担分500円を足した金額のモノを買って、課長にお見舞いとして持って行って」
「え……っ、課長、やっぱり体調崩してお休みしてるんですか?」
「それは知らないけど」
「でも、お見舞いって……」
「そんなの、ただの口実よ。
こんな時でもなきゃ、課長の部屋になんか行けないじゃない」
「ああ、なるほど……。
でも、だったらなんで私が……?」

受け取った封筒を見つめながら聞く。
触ってるだけで、500円玉が4,5枚あるのが分かった。

「もちろん私が行く気でいたのよ。
そのつもりじゃなきゃ皆から集金したりするわけないでしょ」
「はぁ」


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