たった一言の言葉を。

変わった日常と過去

席替えのあと授業が始まり、教室内は静かになった。つまらない授業を聞き流して窓の外を見ていると小鳥の鳴き声が聞こえる。
制服のポケットの中にあるケータイが振動してあたしにメールの着信を知らせた。先生の目を盗んでケータイを開く。
相手はバイトの店長で、新人のバイトが入るから指導をしてくれと。

あたしがしているバイトは人気の隠れカフェ。このお店は、店長とオーナーとあたしだけ。
高校生のバイトはあたししか居ないから、指導はもちろんやることもたくさんある。
店長の名前は天宮浩介さん、そしてオーナーの葉月さん。このふたりは夫婦で私は葉月さんと仲がいい。あたしにとって葉月さんは、姉のような存在だった。
葉月さんは、母の親友であたしが幼少期の時から知っている。母の葬儀後、あたしを引き取ってくれた。
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