【完】結婚させられました!?

□可愛いアイツは幼なじみ:音夜side





カーテンは、いつも閉めている。



夕方になると俺を責めるような勢いで射
し込む夕日が眩しくて。



───あの光景を、見たくなくて。



はらり、とその薄っぺらい布を捲れば、
そこで俺を待ち受けているのは酷く残酷
なものだから。



誰だって見たくなんて、ないだろ?



自分の好きな女と、つい最近までその存
在すらしらなかった男が笑いあっている
姿なんて、さ。



「……ウゼェな……」



それとなく吐き出した小さな本音は、恐
ろしいくらいの静寂の中で、妙に響いて




空気に溶け込む事もせずに、俺の胸を鋭
くえぐった。



空虚な空間で、苛立ちばかりが募ってい
く。



俺の気持ちをまるで信じようとしない彼
女も。






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