聴かせて、天辺の青

「そんな気ぃ遣わんでもエエのに……、でも、せっかくやから貰っとくわ、ありがとうな」



いつもなら『大した物じゃない』に対して、『大した物じゃないような物をくれるのか?』と笑顔で食いついてくる和田さんが今日は何にも言わず素直に受け取ってくれる。
ちょっと調子が狂うけど、まあいいや。
たまには素直な和田さんも悪くない。



「今度来る時には何か買ってくるわ、欲しいもんあったら何でもリクエストしといてや」

「え? ホントに? 何でもいいの?」

「アホ、あんまり無茶なこと言いなよ」

「何でも……って言ったくせに残念」

「瑞香ちゃん、怖いこと言うわ」



和田さんと私のちょっとおバカなやり取りを見て、海棠さんが笑ってる。



私の欲しいものは和田さんに買ってきてもらわなくても、すぐ傍にある。きっと、ずっと、これからも。今だって、こうして一番近くで笑っていてくれている。
大切にしたい人。





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