聴かせて、天辺の青
再び、駐車場に並んだ車へと目を向けた。駐車場の向こうに見える国道を走り抜けてく車が、きらきらと眩しい。
さっき、白瀬大橋から見た海原に負けていないほど。
「相談なんだけど……どこか働けるとこない? どこで働いてるの?」
遠慮がちに投げ掛けられた声に、思わず振り向いた。今までの彼の声には感じられなかった、申し訳なさに似た何かしらの感情を含んだ声。
驚いたのは言葉だけでなく、彼とばっちり目が合ったこと。てっきり、こっちなんて見ないで話していると思っていたから。
でも、彼の目からも声と同様の感情が滲んでいるように思える。
本気で言ってるの?
と聞き返すつもりだった。
「私が働いてるのは近くの道の駅だけど……本気で働く気があるなら、聞いてみようか?」
私、何を言ってるんだろう。
思ってたことと違うことを、勝手に口走ってしまってた。
まだ彼への疑いは、完全に晴れた訳じゃないのに何てことを……
動揺する私に気づいているのかいないのか、彼は僅かに笑った。
「ありがとう」と言って。