ベストマリアージュ
あの日の夜を思い出しては、一人ベッドで枕を濡らす。


下で眠る両親にバレないように必死に声を押し殺して。


昼間は平気な顔して接してる母にもこれ以上心配かけたくはなかった。


それでもやっぱり夜になれば大地への思いが募る。


こうして泣くことで、心のバランスをとっているのかもしれなかった。


号泣するのは癒しになるんだって、確か何かの雑誌で読んだことがある。


それもあながち嘘じゃないのかもしれない。


だって泣いたあとはいつも頑張ろうって思えるから。


明日にはまたいつもの日常が始まる。


(仕事が終わったら、ジムに行こう)


結婚して五キロは太ったであろう体を、少しずつ元の体重に戻していた。


あの可愛い彼女に負けないくらい綺麗になりたいと思う。


そんなことを思いながら私はゆっくりと夢の中へと落ちていった。



< 25 / 307 >

この作品をシェア

pagetop