ベストマリアージュ
「……わかった、でも、条件が2つある」


私の出した答えは、離婚を受け入れること。


だけど、離婚する条件を2つだけ出した。


それが受け入れられないなら、離婚はしない。


そう静かに伝える。


だって、浮気なわけじゃない。


私とその相手を比べて選ぶ段階は、彼の中ではもうとっくに終わってる。


彼は申し訳なさそうな顔をしながら、それで離婚してくれるならと、その条件をのむことを約束してくれた。


ほら、そのくらい私と離婚したいってことでしょ?


条件なんか軽く受け入れちゃうくらいに……


あまりにも淡々と事が進みすぎて、涙も出やしない。


冷めてしまったコーヒーを一口飲んで、またテーブルに戻した。


結婚祝いに頂いたお揃いのカップが、なんだかすごく間抜けに見える。


いつもなら美味しく感じるはずのコーヒーが、なぜか苦いまま口の中にいつまでも残っていた。


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