【完】うしろの席のオオカミさん
♯2

図書室、近すぎる距離




秋の気配を運ぶ冷たい朝の風。


歩いててだんだんと目が覚めてくる。


文化祭は大成功に終わった。
終わったけどまだ興奮がおさまらない校内。


三年生はしゃきっと切り替えなくてはならない。



「おはよ。教室入んないの?」


「あ、莉乃ちゃん。おはよ~」



鞄を掴む手に力が入る。


自分の教室なのに入ろうとはせず立ち止まっている姿を莉乃ちゃんに見られてしまった。


最近のことではない。
少し前からこれを毎日繰り返しているわたし。


莉乃ちゃんに続いて教室に入り、自分の席へとのろのろ歩いていく。


歩くまでもないんだけどさ。
廊下側の席だからドア開けて入ったらすぐ自分の席に着いちゃうんだけどさ。



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