夜桜と朧月
倦怠



もう何度目の事か、最悪なメールで朝起こされた。



自分の彼氏の浮気相手から、昨日の情事を写した所謂ハメ写を添付して送られたそのメールを一通り読み終えると、自分の携帯から直ぐ様削除した。




最初のうちこそ動揺して、彼氏を問い詰め詰り、泣きもしたが、何回となく、また、何人となく行われたその【行為】に、今ではもう摩滅しきった私の感情は、なんら揺れて動く事はない。






いつの頃から、彼はあんなに変わってしまったのだろう。






高校時代に同じクラスだった私、椿真愛(つばき まな)と、彼、奥菜楓(おきな かえで)。



お互いに意識しながら、友人達に背を押されるようにして付き合い始めた、高2の夏。





どちらも恋愛初心者のように、手を繋ぐことさえ戸惑っていた。

キスも、体を重ねる事も。

手探りで、教科書も参考書もない世界を二人でゆっくり歩いていたはずだった。




不安がなかった訳じゃない。


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