夜桜と朧月

姉達の家に置かれた後飾り祭壇を拝みながら、これからの事をぼんやりと考えた。



咲希と多希は本来ならば、お義兄さんとその実家のご両親に育てて貰うのが筋だろう。




だが、姉はこの子達が他人の手によって育てられる事を、一番心残りにして亡くなったのではないかと思えてならないのだ。


喩えそれが一生を添い遂げようと誓った夫婦でも、所詮は他人。


いつか、お義兄さんが心変わりをして、姉の知らない女性に対して、この子達に【母】と呼ばせる日がくるかも知れない。




それだけは嫌だっただろう。



母が生きてくれてさえいたら、姉は迷わず母に子供らを託しただろうに。



それすら叶わないとなれば、私が咲希と多希を育てる事で、姉が成仏してくれるような気がしてならなかった。

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